2015年5月6日水曜日

競技ダンス実践テクニック「括約筋と大腰筋を締めることによる深層筋の連動」



動画は、2015年4月28・29日に、ルーマニアの首都ブカレストのPolivalenta Hallで行われた、WDSF WORLD OPEN STANDARD ADULT DanceMasters 2015の決勝です。

ロシアのボルコフ選手を始め、エストニア、ルーマニアのトップ選手が踊っているわけですが、とにかく、どの選手を見ても、強靭なホールドと体幹の強さによるバランス感覚から繰り出されるダイナミックなムーブメントに目を奪われます。

まあ、世界的な競技ダンスの踊りのクオリティ自体が数年前とは比較にならないぐらい高度になり、WDSFの世界選手権におけるアマチュア日本選手はランキング100位以内に入ることもできないという、旧態依然とした日本のダンス界は世界から取り残され、まったく太刀打ちできなレベルになってしまいました。

これは、身長や手足の長さの問題はさておき、ダンス発祥の経緯もさることながら、ヨーロッパ選手の人種的特徴である体幹の強さと筋力の強さの違いによるものが大きいわけですが、基本的なダンスに対する考えの違いにも大きなものがあるように思います。

この動画のどの選手を見ても、ホールドの緩んでいる者はおりませんし、強靭な十字架のような男性のホールドはもとより、女性においてもわずかにたわんだ状態で張りが維持されて、男女間は花が開いたごとく大きなボリュームを終始維持して踊られています。

これに比較して、日本人選手のホールドを見ると、だらしなく緩んで、女性に至っては、たわむというのではなく、垂れ下がっているように見える場合が多々あります。

これは、コーチが一般的に指導する「力を抜く」ということを正しく理解できないということに原因があります。

しかし、それを指導しているコーチ自体が理解できていない場合がほとんですので、その通りにしている選手ができるわけもないのは当たり前と言えば当たり前です。

「力を抜く」というのは不要な筋肉の力を抜くということであって、力を抜いて緩めてしまうということではありません。

当然、ホールドや姿勢を作っている筋肉には強いテンションがかかっているわけですので、必要な筋肉に関しては力が強く入っているわけです。

しかし、そのホールドや姿勢を作るために必要な筋肉が不随意筋である深層筋(インナーマッスル)であり、不要な筋肉が随意筋である骨格筋(アウターマッスル)であるというところに、「力を抜く」ということの本質を理解できない原因があります。

さらに、このことが、指導側であるコーチにさえも理解できていないということが、さらに問題を複雑にしています。

まあ、私達老人老婆のダンスとはかけ離れた世界のトップアマのダンス事情はともかく、振り返って、我がダンスファイナルの実情に鑑みると、我がダンスファイナルのカリキュラムでは「力を抜く」ではなく「ホールドは命がけで力を入れる」と指導しているわけです。

その結果、ほとんどの我が会員諸氏が絶望的な高齢にも関わらず、圧倒的なは早さで昇級するわけです。

そうは言っても、会員でも、これをどうしても理解できない、あるいは理解しようとしない場合はそうでもないのはご存知のとおりです。

不随意筋は意思で操作できませんが、日常の生活を記憶して、勝手に働くようになるという特徴がありますので、意思で操作することのできる骨格筋で強いホールドを作ることを繰り返せば、不随意筋がそれを記憶して、勝手に強いホールドを作るようになります。

正しいホールドを強制的に作ることにより、ホールドにおける正しい癖をつけるということでもあります。

つまり、意思で骨格筋を働かせることにより、不随意筋である深層筋にその動作を覚えさせ、それを習慣にし、正しい癖にするということです。

また、ホールドともに重要なのは正しい姿勢とバランスです。

どんなにホールドが美しくても、姿勢が悪く、猫背で腰が曲がっていたりすれば、審査対象にもなりませんし、バランスが悪くて立つのも困難であれば、ダンス自体が成り立たないということになります。

その正しい姿勢とバランスを作るのが、括約筋と大腰筋の連動です。

括約筋と大腰筋が働くと、身体の中心線が整い、強い体幹を作り、バランスを保つことができます。

つまり、ダンス的には正しいポスチャーを作ることができるということになるわけです。

ポスチャーつまり正中線が正しい位置にあれば、ポイズがどのようなバランスになっても、立ち続けることができます。

ところが姿勢やバランスに大きな影響を持つ大腰筋は不随意筋である深層筋(インナーマッスル)ですので、意志では操作できません。

大腰筋を締めるといっても、意志ではできないようになっているわけです。

大腰筋は腸腰筋や脊柱起立筋などに連動して、人間を直立させてバランスを保ち「立つ」ために姿勢制御を司る深層筋群に連動しています。

立つことは、意識でどの筋肉とどの筋肉を働かせて、あーしてこーしてと、考えて立っているわけではありません。

不随意筋である深層筋が勝手に連動して、勝手にバランスを取って、人間が直立するということが実現しているわけです。

それが2本の脚で立っている場合は、その困難さを実感できないわけですが、これを片足て立った時に、バランスを維持するということが実に困難な作業であるということがわかります。

それでは、立つことだけでも困難な「片足立ち」を保つにはどこをどうすればいいかということが分かれば、ダンスにおけるバランスを保つことも容易になるわけです。

これは大腰筋と括約筋が連動しているということがポイントになります。

括約筋は尿意や便意を催したときに漏れないように締め付ける筋肉です。

もちろん幼児期の教育で、普段から漏らさないように無意識に働いている不随意筋でもあります。

ところが、括約筋は、不随意筋である深層筋だけでなく、随意筋である骨格筋との2種類の筋肉よって構成されています。

つまり、おしっこが漏れそうなときや下痢の時には、意識で締めることができるようになっているわけです。

その随意筋である骨格筋の部分を利用すると、括約筋が大腰筋に連動し、それが腸腰筋、脊柱起立筋などに連動して、体幹が強くなり、正中線がしっかりと整い、バランスを保つことができます。

簡単にいうと、意思により肛門を締めるだけで、大腰筋や脊柱起立筋を始めとした姿勢制御を司る深層筋が強く連動して、さらに、脚部の深層筋も連動して、片足でも正しいバランスで立つことができるということです。

これは、片足で立って、試してみればすぐ理解できます。

また、身体を観察してみると、肛門を締めると尾骶骨が後方に引き上げられて、骨盤が下方を向きます。

このことにより、背骨が正しいS字を描くことになります。

一般的にいう「臍が下を向く」という姿勢になります。

子供はみんな臍が下を向いた姿勢であるのに対し、高齢になるほど、臍が上を向き、さらには腰が曲がり猫背になり老人特有の体型になるわけです。

つまり、子供は括約筋が強く、年を取るほど括約筋が弱くなり、尿漏れなどが起きて、最後は垂れ流しになりお亡くなりになるという生命現象の一環であるわけです。

我々、中高年老人老婆が猫背で姿勢が悪いのは、ひとつには加齢による筋繊維の減少で括約筋が弱まっているということに原因があります。

これを意識で締めれば、姿勢制御にかかわる筋肉群が働き始め、骨盤が正しい位置になり、姿勢が整います。

さらにバランスを司る筋肉群が脳と連動して強く働き始めますので、片足立ちでも楽に立てるようになります。

さらに括約筋、大腰筋、脊柱起立筋などの深層筋の連動は、全身の深層筋群に連動しますので、当然、ホールドを構成している深層筋にも連動します。

括約筋が締り大腰筋が連動して働くことにより、勝手にホールドを構成している深層筋が働き始めホールドを作ります。

勝手に深層筋が働き始めてホールドを作るわけですので、つまりは「力を抜く」という意識を持っても、ホールドは正しく構成されて、それを保つことができるわけです。

そのためには、あらかじめ意思で操作できる骨格筋で「正しいホールド」と「正しい姿勢」を作り、深層筋にそれを記憶させておくことが必要です。

また、長期に渡る実践による私の実感では、日常生活において肛門を締めるということを習慣づけると、体力強化、免疫力強化という観点からも大きな効果があります。

健康面では、肛門を締めると肛門神経叢が活性化され、それに連動して括約筋神経叢が働き始め、さらにそれに連動して腹腔神経叢も活性化して内臓の働きが活発になります。

それに加えて、姿勢が良くなり、全身の血行が促されて、酸素と栄養素が各臓器に滞りなく運ばれて細胞の修復あるいは分裂が滞りなく行われます、

これらの結果、全身の細胞が活性化しますので、免疫力が向上し、当然、競技ダンスに必要不可欠な「体力」が付きます。

さらに、括約筋と大腰筋が働き、血液が身体下部に集まることにより、上がった気が下がり、気持ちが落ち着きますので、精神安定にも大きな効果があります。

上がり症のため、競技会で上がって頭が真っ白になるような人には大変な助けになります。

つまり、競技ダンスの成績向上にも健康状態の改善にも多大な効果があるわけです。

これが、肛門を締めるだけで達成できるわけですから、日常の行住坐臥において肛門を締めることを習慣にして損はありません。

余談ですが、肛門を締める効果については、現在の日本の武道などでは常識のことで、最初にこれを一般に普及させたのは、思想家で日本初のヨーガの行者である中村天風氏です。

仲村天風氏は1968年にお亡くなりになりましたが、わたしの合気道の先生の先生である藤平光一氏に大きな影響を与え、戦前戦後を通じで、日本の財界、政界、思想界に多数の支持者を持ち、現在の自己啓発セミナーなどは天風氏の理論の亜流であるものがほとんどです。

とはいっても、べつに私は天風氏の腰巾着ではありませんので、畏敬も帰依もしておりませんが、高齢化で無能力者と成り果て、先行き絶望の淵に立たされている会員諸氏を救うべく、効果のあるものはなんでも取り入れるというスタンスではあるわけです。

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